5月から6月にかけて、YouTubeチャンネル「The Process」さんに、僕たちの製作過程を撮影していただきました。
今回、題材にしたのは樹齢約900年の一本の杉の木。
長い生涯の中で、7回もの落雷を受けた痕跡が残っていたという、なんとも数奇な時間を生きてきた木です。
これは、この木を仕入れた原木市場の方から教えてもらいました。

木は伐られたあとも、すぐに家具になるわけではありません。
この木は原木のまま約20年間乾燥(意図的でもあり、偶然でもある)させ、そこから丸太を製材し、一枚一枚の木と向き合いながら仕上げていきました。
そして、家具として店頭に並ぶまで。
今回は、その一連の流れを記録してもらいました。
僕たちは、木工技術そのものを誇りたいわけではありません。
一本の木を暮らしの中に迎れること。
そこにどんな豊かさがあるのかを、想像してもらえたらと思っています。
900年を生き、雷に打たれ、それでも残った痕跡。
人間がつくろうとしても、つくることのできない形。
こういう木を見ていると、「テーブル」や「家具」という用途を超えた存在になっていくように感じます。
一枚板テーブルっていうネーミングもなんか違うんだよな〜とも思ったり。
でも、理屈はなんでもいいんだと思います。
自分自身が「なんかいいな」と本能的に感じるものと暮らすこと。
みんな、そういう好きなものってありますよね。
旅先で出会った思い出のものだったり、お金を貯めて買った服やソファだったり。
誰かの評価ではなく、そのときの自分が純粋に「いい」と思ったもの。
そういうものを毎日目にして、触れていると、ふとした瞬間に心が落ち着いたり、明るい気持ちになったりする。
忙しい日々の中でも、それだけで少し気持ちが軽くなることがあります。
自然にも、そんな力があると僕は信じています。
何百年も生きてきた一本の木を、今度は人の暮らしの中へ。
それは、日々を少し豊かにする、ひとつのきっかけになるんじゃないかと思っています。
この映像から、その豊かさを少しでも感じてもらえたら嬉しいです。



TORINOKI 山田